2012年2月23日木曜日

将棋のタイトル戦の定義について教えてください。 何故、朝日オープンは番勝負もあ...

将棋のタイトル戦の定義について教えてください。

何故、朝日オープンは番勝負もあり、賞金総額もそれなりなのにタイトル戦ではないのでしょうか?棋戦がタイトル戦となるにはどのような要件が必要なのでしょうか?


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これは少々ややこしい事情があります。



本来はタイトル戦と一般棋戦の違いというのは、賞金総額とタイトル保持者という制度があるかどうか、ということがポイントになります。



一般棋戦(NHK杯、銀河戦、日本シリーズなど)では毎回トーナメント戦などで競って優勝者が決まりますが、タイトル戦ではタイトル保持者がいて、一般棋戦でいうところの優勝者がさらにタイトル保持者と番勝負を行って勝たないとタイトルホルダーにはなれないわけです。



この差異は主に賞金総額で決定されていて、賞金総額が高いとタイトル制にして、低いものはタイトル制を設けずに一般棋戦として優勝者を決定するだけにするという長年の仕来たりのようなものがあるわけです。



さて、ここで朝日オープンを見てみると、「朝日オープン選手権者」という明らかにタイトル保持者が存在しており、タイトルは番勝負によって移動します。賞金総額も1億3千万円程度と一部の公式タイトル戦を上回るほどです。



これらの条件だけ見ると朝日オープンは公式タイトル戦となるべき要件を十分兼ね備えているわけです。それでもタイトル戦にしていないのにはそれなりの歴史と理由があります。



この歴史をあまり詳しく書くと非常に長くなるので簡潔に説明しますが、将棋界で最も権威と格式のある名人戦の主催者は、毎日→朝日→毎日→毎日&朝日(共催)のように移り変わっています。



朝日オープンを創設したころは毎日の単独主催だったわけですが、要するに朝日としては、やはり名人戦に拘っていたわけです。名人戦以外のタイトル戦を主催してしまうと、それが既成事実となって二度と名人戦の主催をすることが出来なくなることを危惧したわけですね。



しかし、棋戦を主催する以上は、大新聞社としては相応の賞金総額を出さないと沽券に関わりますし、また、高い賞金を出して将棋連盟に恩を売ることで将来的に名人戦の主催権を手に入れるチャンスを広げようとしていたと思われます。



以上のような事情があって、賞金総額が高額で番勝負のタイトル制を適用しても公式タイトル戦にはして欲しくない、という朝日新聞社の希望があったため、他に例の無い奇妙な一般棋戦が誕生するに至ったわけです。

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